不適切里親からの取り戻し事例

こういうタイトルは里親さんやこれから里親になろうとしている人には不快に思われるかもしれませんが、不適切と言うか、不良と言うか、実際は里親詐欺みたいなレベルなので、普通の方は気にする必要はありません。と言うか、どうか気にしないでください。

里親詐欺も怖いですが、無自覚な不適切飼育者のほうが、自覚がない分怖い面もあります。
そういう人に間違って猫を渡してしまった場合、どうやって取り戻したら良いですか?と時々相談があります。
どんなに腹が立ってもどんなに怖くても、猫を無事に生きて取り戻すのを最優先にがんばらなくてはいけません。
もちろん、円満に取り戻せれば一番良いですがなかなか難しいです。

この日記は、里親探しをしている方へ参考になればと思って書いています。



私もかれこれ百以上・・・ちょっと数えてみないとわからなくなってるくらいに里子に出してきました。
どの子も愛しく可愛かったし、里親さんも大事な大事な里親さんです。

けれど、何例か、猫を取り戻したことがあります。

猫を返してもらう、いわゆる普通の「出戻り」の理由では、「先住猫ちゃんとの相性問題」「猫と里親さんの相性問題」などが一般的な理由で、なんのトラブルでもありません。
「里親さんのアレルギー発症」「急な病気」などもたまにあります。
けれどこれらは事前によく話し合ってのお届けになるので、実際にこうした事態が起きてもすべてが出戻るわけではありませんし、出戻ってもトラブルではありません。

去年出戻って、現在里親再募集中のジュンちゃんのように、何ヶ月してもおうちに馴染めず、ジュンちゃんの事を最重視して、里親さんと相談して出戻りが決まるということもあります。

以上は、里親さんと元親が了解しあっての出戻りなので、トラブルでも取り戻しでもありません。

厄介なのは、里親さんと元親が感情的なことでトラブルになり、取り戻すという事態になった時です。

これは、人間同士のトラブル、と一言では言えないものもあるのですが、相談してくる人達の場合、まあそういう(感情的な)理由でのことが半数以上な印象です。

私の場合は、お見合い後の段階で、似たようなことが2回ほどあったと思いますが、譲渡後の里親さんとは、そういう(感情的な)トラブルは、ありがたいことにまだありません。

けれど、不適切里親に渡してしまって、取り戻した、ということは、何度かありました。
上のような感情の問題ではなく、明らかに里親側に問題があっての場合です。
それでも、いったん渡した猫を取り戻すのは、これもなかなか容易ではありません。


◆事例1.去勢せず繁殖、次々もらい受け、捨てていた人

まだ私も猫ボラ初心者の頃です。
里親は30代の夫婦でしたが、ポスターを見て面会に来たのは奥さんのみ。
お届け時も奥さんのみ。
あとでわかったのですが、事件発覚時には、夫婦仲が破綻していたらしいです。
それで寂しくて猫を集めだしたようでした。

お見合いの時はちゃんとお化粧もしてどちらかと言えば美人。
猫話に花が咲き、「猫は我が子同然よね!」と。
過去の猫ちゃんの看取りの時の話でも、共感するものが多く、とても良いご縁だと思いました。
先住猫ちゃんが1匹のところに、私の保護猫を1匹譲り、近況報告もちゃんとくれて、猫友のようにしていました。
そして、1年して、春の子猫の季節に、新たに2匹欲しいと言ってきました。
私もまだ甘かったのですが、「4匹は多くない?」と聞くと、「大丈夫。そのほうが生活にも張りが出るし」と。
なんとなく子猫に依存している感じを受けましたが、子猫の世話で張りが出て精神的に落ち着くなら良いのかな、ということで、2匹譲渡することになりました。

◆取り戻した理由
事が発覚したのは、前後して別のボラさんからも3匹貰い受けていたのがわかってからです。
そのボラさんが私に連絡してきて、1年で子猫を6匹も貰い受けるというのは、ちょっと「おかしい」ということで、心配していたのですが、相変わらず私には、渡した子猫達の自慢写メがきていたし、心配だが見守る程度で良いのかと思っていました。

けれども、「他の3匹の子の写真も見せてよ。」と言っても「あの子達は元気過ぎて写真を撮らせてくれないのよ~。」と言われ、不信感が募るばかり。
別ボラさんもヤキモキして「どうしようか、自宅訪問しようか。」と話し合っていました。
するとほどなく、里親から

「(自分が)余命いくばくもない病気(癌)になったので3匹の猫は人に譲った。春にゆきももこさんから貰った子猫2匹も返したい。自分の病気は癌で、足も立たなくなり車椅子なので、子猫を取りに来て欲しい」

と、私にではなく別ボラさんに言ってきたのです。
これは普通ではない!と思い、別ボラさんと一緒に自宅を訪問しました。

家に上がると案の定、中は荒れてひどい状態、私が最初にあげた子は家にいましたが、もう1年半経つのに去勢の約束が守られておらず、先住の♀猫と繁殖させられていて、生まれた6匹の子猫は全滅、他ボラさんがあげた子猫達は外に捨てられ、野良化していました。

そして、本人が病気になったというのも嘘。歩けないというのも嘘。
完全に不適切飼育者で、嘘をついた、ということで、猫は取り戻しました。

◆取り戻し方法
訪問しても、すぐには出て来ず居留守を使われたのですが、こちらもすぐに帰らずに張り込みました。
張り込みつつご近所に聞き込み。
すると、隣人から「3匹の猫は外にいます!」と言われ、そこに案内してもらえました。
隣人によると、最初は可愛い豪華な首輪を着けていたのに、ある日から外に出すようになり、そしてある日中に入れなくなり、いつの間にかあの豪華首輪も外されていたそうです。
「窓の外で入れて欲しそうに鳴いていてもまったく入れようとしないので、可哀相で私が餌をあげていました。」と。

そうこうしていると、私達の様子が気になったのか、1時間ほどしたら本人が玄関から歩いて出てきました。
急いで追いかけて声をかけると、本人も急いでまた家に入ってしまいました。
他ボラさんがドアを叩き「あなたは猫を捨てましたね!これは遺棄と言って犯罪です!出てこないと警察に通報しますよ!開けなさい!」と言いましたが、そんな事では当然出てきません。
それより私は、あまり追い詰めるとやけを起して、取り返しのつかない事をするのではと、気が気ではありませんでした。
そこで、玄関のドア越しに、私だけで話しかけ、「私だけ入れて?」と説得してドアを開けさせ、中に上がりました。
そこで上記のような事態がわかったわけです。

私は、信頼を裏切られて内心煮えくり返っていましたが、怒りは出さずにあくまでも優しく話しかけ、いろいろ問いただしました。

夫がまったく帰ってこず、寂しくて猫を集めたこと。
猫が多くなると、室内を走り回るのやイタズラが苦になってきたこと。
特に、他ボラさんから貰い受けた3匹は、スプレーをしだしたので外に出してしまったこと。
私のあげた猫を繁殖させていたのは、自分の猫の子猫が欲しかった。猫の子育てを見て癒されたかった。
他ボラから貰い受けた3匹を捨てた後も、平然と私から子猫を2匹もらったのは、繁殖させた子猫が全滅して寂しかった。

そういうことをぽつぽつと話してくれました。

私は、「どうして騙したの?どうして困ったら相談してくれなかったの?」と問いましたが、
「そんなの・・・言えないよ・・・。」としか答えませんでした。
私は、裏切られてとても悲しい、猫達はもっと悲しかっただろう、残念だが猫は返してもらう、と伝えましたが、私の最初にあげた猫は、本人がしっかり抱いて離そうとしませんでした。

「この子は私の命。生きがい。連れて行かないで」と訴えていましたが、私が「どうしてどの子にも同じようにしてくれなかったの?どの子のこともそう思って欲しかった。」と言うと、観念して猫を渡してくれました。

◆その後
野良化していた猫達は、捕獲器で捕獲し保護主のボラさんが連れて帰りました。
ボランティアの精神的ダメージ、いきなり大きくなった猫が戻る実質的ダメージはかなり大きいです。
取り戻した私の子は、それからとても良いご縁があり、今はその里親さんの元で幸せに暮らしています。
本人はその後離婚し、元からいた先住猫(♀)のみ連れて実家に帰りました。
私は一応実家のご家族に連絡し、先住猫ちゃんの不妊手術をしてもらいました。
もう猫を増やさせないよう、母親に言いましたが、母親が甘やかしている感じを受けたので、念のために「いつでも里親募集中」に連絡をして注意を促してもらいました。

この事例、その頃私はまだ簡単な同意書しか取っていませんでしたから、もし本人がもっと悪質な人間で、ドアも開けず「これは自分の猫だから絶対に返さない!」と言われたら、もしかしたら取り戻せなかったかもしれません。 なぜなら、法的には猫は「物」扱いなので、一度あげると言って渡してしまったら、取り戻すことは非常に困難なのです。
この事例では運良く、本人がおとなしくドアを開けてくれたので、まだ何とか取り戻せたのだと思います。



◆事例2.子猫の育成をするには健康面であまりにも不安定であり、また、飼育放棄の過去を伏せていた人

これはミクシイを始めてからの保護猫、鯉太郎とカブちゃんという子猫達への申し込みでした。
先住猫ちゃんが2匹いる若いご夫婦で、奥さんはメンタル系の治療中で専業主婦。
ご夫婦で面会に来て、夫婦仲は円満そう、猫の話も気が合いました。
奥さんの病気については気になりましたが、正直に話してくださり、猫の飼育については夫も援助するということで、鯉太郎とカブトの2匹の譲渡を決めました。

◆取り戻した理由
奥さんだけの平日にお届けに行くと、本人は薬のせいで意識が不明瞭、ろれつが回らず会話も休み休みという状態でした。
一瞬で「失敗した!」と思ったのですが、おうちまでお届けして、「やっぱりだめです!」と帰るのは躊躇してしまいました。

先住猫達は元気な様子でしたが、部屋は荒れていて、猫トイレも不潔、なにより本人がとても子猫を育てられる状態ではないのです。
それなのに、私ははっきり言い出しにくくて、「ご主人もしっかりして優しい方だったし、成猫達は可愛がられているようだし、大丈夫だよね・・・」と自分に言い聞かせるようにして、後ろ髪引かれる思いで子猫達を置いて帰ってきました。

が、やはり心配で、何も手につかず、、何か安心材料はないかと里親さんのミクシイの日記を見ていると、ほんの3ヶ月前に、猫の飼育放棄をしている事がわかりました。
持病が重くなり、猫の世話ができなくなって、実家に1匹引き取ってもらったらしいのです。
譲渡前の確認で、過去の飼育歴をお聞きするのですが、本人からそうした話は一切聞いていませんでした。

鯉太郎とカブトは、まだ離乳して間もないほどの、ほんの赤ちゃんでした。
ちょっとでも気を抜くと、命取りになりかねません。
里親さんの病気や、子猫達を迎えての喜びようを思うと、返してと言うのは考えただけでも気持ちが落ち込みましたが、万が一手遅れになってはと、一刻も早く返してもらう決心をしました。

◆取り戻した方法
相手は飼育放棄の事実を隠していたのですが、それ以外のことでは、病気のことなど承知の上で譲渡したのは私です。
今更返せと言うのは、かなり気を遣いました。
考えて考えて、まずは夫に話すことにしました。
夫君は、当然私のお願いに驚き、妻の精神的ダメージを心配しました。
病気が悪化するかもしれない、可哀相だ、というのです。
私も同様に思うのだけれど、子猫は管理が難しく体調を崩しやすいから、本来はお留守番の長い方には譲渡しないこと。ところが奥さんのあの状態では、専業主婦であっても家にいないのと等しいこと。私がもっと深く考えるべきだったが、病気の程度がお見合いで聞いて思っていたのと、実際とがかなり違っていたことを話しました。
夫君は渋りましたが、「万が一子猫を死なすことがあった場合のほうが、奥さんの精神的ダメージは大きくなるとは思いませんか?」と言うと、やっと納得してくれました。

そして、二人で私の家まで子猫達を連れてきてくれましたが、奥さんの手首には血が滲んだ包帯が巻かれていました。
表情は険しく、「ニ匹とも名前もつけて懐いていたのに」となじられました。
「あなたが飼育放棄したことを隠すから悪いのだ」
とは私は言いませんでした。
ただ、私の判断が甘かったために辛い思いをさせて申し訳ない、と頭を下げて謝りました。
子猫達は、たしかお届け3日目で取り戻したのだったと記憶していますが、ひどい下痢になっており、鯉太郎は即日入院するほど状態が悪くなっていました。

◆その後
本人とはすでにマイミクになっていたので、「子猫達は必ず幸せにするから見守っていてね」と言って、そのままマイミクだったのですが、私の日記に「やっぱり返してくれませんか?」など、執着したコメントを書かれたりして困りました。
しばらくすると、本人が「やっぱり返して欲しい。体調も良い。」と電話をしてきたので、はじめて「でもあなたは3ヶ月前に実家に猫を引き取ってもらったでしょう?本当に猫の世話がもうできるなら、その猫ちゃんを引き取るべきではないの?」と言うと、黙ってしまいました。
そして「本当言うと、飼育放棄していたことを知っていたら、初めからあげなかったのです。あなたはそれを私に内緒にしていたよね。」と言うと、「わかりました。」と言って電話を切りました。

私は、そうした病気を抱えている人には同情的なので、とても胸が痛みましたが、優しい夫君がいるので、心のケアは家族がすれば良いと思いました。
夫君に、「奥さんには子猫は無理だから」と重々言ったので、「いつ里」への報告はしませんでした。



この2つの事例、私は人に同情し過ぎて判断を誤ってしまっています。
そもそも最初から渡さなければ、里親さんも辛い思いをせず、猫達もあっち行ったりこっち行ったりしなくて済んだのですが、失敗して渡してしまったのですから仕方ありません。
失敗だったと思った時は、なんとしても猫を無事に取り戻してください。

情けは人のためならず。。。下手な同情はかえってその人のためにならないという意味もあります。
相手を傷つけるのでは?とか怒らせてしまうのでは?とか悩んでいる暇に、もし万が一の事があって、大切な命が失われてしまったら・・・相手にもっと深い傷を負わせてしまいます。
その時にいくら悔やんでも、失った命は取り戻せません。
少しでもおかしいと思ったり、不安になったら、決断をしなくてはいけない場合もあるのです。
ひどい仕打ちのように感じても、結果として、その人にも良かったのだと私は思っています。

猫も里親さんも元親も、みんなが本当に幸せになれる里親探しをしなくてはいけないというのが私の里親探しの信念です。
里親さんを審査する、ということではなく、本当にみんなが幸せになれるのか、みんなで考えて決めるような、そんな里親探しをしていければと思います。

そして、大事なのが契約書です。
(あんまり長い記事を書いたので危うく大事なことを書き忘れるところでした。)

契約書は、里親と元親間のトラブル防止のために必ず要ります。
上のほうで書いた、「感情的ないざこざ」で猫を返せ返さないといった時などは、落ち度のない里親さん側にも必要になりますし、不適切里親に渡してしまった時にも、契約書がとても重要になります。
契約書は、簡単な物ではなく、法的に通るようなものを使うことをお勧めします。

うちで使っている契約書↓テイルズさんの契約書
http://www4.tokai.or.jp/tails/index.html
http://www4.tokai.or.jp/tails/keiyakusyokari001.htm
http://www4.tokai.or.jp/tails/keiyakusyoseisiki002.htm




初心者の方は、大事な里親さんに対してあまり疑心暗鬼になることなく、だからと言って流されることなく、保護した子を幸せにしてあげてください。


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by yukimomoko | 2012-02-23 12:02 | 【里親探しの話】  

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