ゆきももこの猫夢日記

【猫の健康】獣医さんもあまり知らない子猫によくある病気

ブログの記事別アクセスを見ると、春から「子猫急変、一応回復」という記事へのアクセスがとても増えています。
たぶん保護した子猫の具合が悪くなって困った人が、何か有効な情報はないかと必死で検索して来ているのだなと思います。
保護された子は回復しただろうか、保護した人はどうしているだろう。
想像すると胸が痛みます。

当該記事は、4年前の保護猫「真幸ちゃん」が原因不明で意識レベル低下、もう無理だ、このまま死んでしまう、と私も獣医さんも諦めていたのに、これまたどういうわけかいきなり回復した、という時の記事です。

でも、自分で読み直してみて、今早急に情報を欲しいと思っている人に役立つようなことは書いていないなあと思いました。

そこで、少し追記として子猫でよくある、けれど獣医さんはあまり知らない病気について書いてみようと思います。

もちろん、私は獣医でもなんでもありませんから、どんな治療が有効か、とかこういう症状の時はこの病気に間違いない!とか言えるわけではありません。
ただ、日本では猫の大半は飼い主不特定の外猫、飼い主のいる猫のうちでも、病気の時に早期発見してちゃんと病院に連れて行く飼い主は割合からすればかなり少ないはずですし、殊に子猫の場合、誰にも知られることなく死んでしまう子がかなりの多数を占めていると思うので、獣医さんの臨床教材に症例として上がっているものは、犬と違って非常に少ないと思います。
そうすると、もしかしたら普通の獣医さんよりは、ボランティアのほうが経験が多いのかもしれません。


前置きが長くなりましたが、本題に入ります。


【獣医さんもあまり知らない子猫によくある病気1◆子猫の意識がなくなる】


もちろん、低血糖や貧血、脱水などで衰弱がひどく命が危険な状態になれば意識は混濁します。
肺炎など重篤な場合、高熱の場合、なども同じくです。
ここで書く「意識がなくなる」というのは、ほんの何分か前まで普通に意識があったのに、いきなりおかしくなる場合のことです。

「子猫急変~一応回復」の記事の真幸ちゃんの時は、私もさっぱりわからず、先天性に何か脳障害でもあるのか?と心配しましたが、どうも違うようです。(真幸ちゃんは現在は里親さんの元で健康に育っていてまったく問題なし。)

今年の春の子猫達にも同じようなことがありました。
ゆきももこ保護の「あめまりも」が、ほんの数分目を離した間に意識が低下しました。それまで普通に動いていた「あめまりも」が、自力で大量下痢をして汚れたので、私は洗う準備に台所に行きました。洗面器にお湯を用意し戻ってみたら、すでに「あめまりも」はグッタリとなっていました。
元々育ちはあまり良くなかった子猫ですが、ミルクの嚥下は良好で、動きも普通。
それがいきなりの意識消失。
迷走神経への刺激が影響して、排便後に血圧が下がることが人間でもよくあります。浣腸をしたら大きな男の患者さんが倒れて、トイレで支えたことがありました。猫でもあるのか?それとも大量に排便したために急激に血糖が下がったのか?
第1回目の発作は、3時間ほどで意識が戻りましたが、それ以降は排便のたびに意識が落ち、数時間続くようになりました。もちろん、深く眠っているわけでもないし、低血糖でもありません。
続いて、今度は姉妹の「ももまりも」が同じように下痢の後で意識がなくなってしまいました。こちらは最初から数時間の長さの意識低下。数時間していきなり「目覚める」ように意識回復。けれどボーっとしている。

前後して、tana宅保護のまりもズも、同様の症状(排便後にぐったりした)と報告がありました。

あめまりも、ももまりも、4年前の真幸ちゃんの共通していた症状をまとめると


・生後1ヶ月くらいの幼齢
  ・排便の後いきなり意識が落ちる、全身脱力する
  ・ひどい時は瞳孔は散大。対光反射はあり
  ・呼吸・心拍↑(常に速いのではなく、意識が落ちた時のみ)     
  ・口の食いしばり(嫌がってではなく反射のような食いしばり)
  ・時々目を見開き飛び上がるようにする   
  ・それさえ消失し、まったく無反応。四肢は冷たくなり呼吸は浅く遅くなる。



補液も糖分も入れていたので脱水、低血糖はないのです。
胸の音も悪くなかったので誤嚥などによる肺炎もないのです。(レントゲンもきれい)
どの子も栄養状態は悪かったので多少貧血気味だったかもしれませんが、歯茎の色などさほど悪くもないのです。

治療
・・・真幸ちゃんの時、かかりつけでは、小さすぎることと、状態があまりに悪かったことで「手の施しようがない」と判断。先生の判断には私自身も納得していましたが一縷の望みを持って気休めに酸素室に入れたりもしました。
まりもズには酸素もなにも一切行いませんでした。
つまり、特に何もしなくても乗りきれば回復するのだと思います。

介護
・・・自宅でできることは身体をマッサージして血行を良くし、体を温め、砂糖水を1滴1滴口に含ませるくらいです。まりもズは回復すると信じていたので、意識がなくなっても諦めずにミルクを与え続けました。真幸ちゃんの時もうろ覚えですが徹夜で同じようにしたと思います。

注意点
・・・上記に「砂糖水を1滴1滴」「ミルクを与え続けた」とありますが、意識がないのですから、誤嚥させないように細心の注意をしなくてはいけません。まりもズは、1滴1滴でも嚥下できないと判断し、経口チューブでミルクを入れました。そこまでして栄養を入れなくてはいけないのかというと、週齢の浅い子は一晩で低血糖になったりするからです。少し育っている子の場合は、意識がないなら誤嚥のほうが怖いので無理に授乳する必要はないと思います。(どれくらい空けても大丈夫かは獣医に相談しつつ対応してください。)

結局なんなのか?
・・・私のかかりつけの先生達の結論では、やはり排便による一過性のショック。元気マンマンの子ではなく少し体調が悪いような子が大量に排便した時(または硬い便を無理やり出した時なども?)に、自律神経(迷走神経)への刺激で血圧が低下し、ショック状態になるのだと思います。
それが、人間の大人の人しか私は経験がありませんから、人間の新生児の場合はどうなのか?こんなに数時間も続くのか?
それとも子猫の場合だけ数時間も続くのか?
正直わかりません。
ともかく3匹とも(tana宅のまりもズも入れれば5匹とも)無事に回復し、特に後遺症などもなく育っています。

私がここで言えることはこの程度なのですが、一番言いたいことは、そんな状態になっても諦めないでください、ということ。
安楽死なんて絶対考えないでください。
繰り返しますが、週齢の浅い小さい子の場合は、ミルクを与えなと死んでしまいます。 諦めて見守っているだけでは助かりません。
自分でカテーテル授乳する際は獣医さんで指導してもらってください。
怖くてできない人は獣医さんにお願いしてください。
ある程度育っている子は、無理にミルクを入れなくても良いのですが、姿勢や保温に気を付けて窒息や低体温にならないように看てあげてください。
体力が回復すれば、この発作は出なくなり、無事に育ってくれるのだと私は思います。

参照:まりもズの介護日記


【獣医さんもあまり知らない、子猫によくある病気2 ◆急に歩けなくなる 】

これは、こちらの日記→でも書きましたが、怪我や麻痺ではなく、急に歩けなくなるものです。
ピルクルの後、うちのかかりつけの先生も文献を調べてくださいました。
それによると、

カリシウィルスの自然感染や弱毒のカリシウィルス生ワクチン接種は、生後6~12週の子猫でみられる一過性の多発性関節炎に関連している。臨床徴候はハ行、こわばり、発熱で、通常2~4日で自然に軽快する。明らかなカリシウィルス感染へと進行する子猫もおり、舌や口蓋の小胞や潰瘍形成、上部呼吸器の症状を示すようになる。関節液の検査では軽度から重度の有核細胞数の増加がみられることもある。カリシウィルスのうち特定の2株がこの疾患に関与している可能性がある。感染猫の口腔咽頭部にウィルスが認められるが、罹患関節からのウィルス分離はうまくいかない。
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図744-4の子猫は10週齢で弱毒性ワクチン接種後6日目に発症、自然に軽快とあります。
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(※参照文献「SMALL ANIMAL INTERNAL MEDICINE」監訳:長谷川篤彦 辻本元 第4版下巻)

自然に軽快すると書かれていますが、弱っている子だと、インターフェロンなど積極的な治療をしたほうがいいのではと思います。ステロイドも、高熱が続くようなら体力消耗するので厭わないで使ったほうが良いかもしれません。
かかりつけの先生とよく相談してください。


【獣医さんもあまり知らない、子猫によくある病気3◆巨大食道症(食道拡張)・食道狭窄 】

獣医さんが「知識としてはあるけれど経験があまりない」病気です。
私はこの病気は、意外と多いのだと思います。
この病気については、ちゃんと書いていると長くなりすぎるので1点だけ。
狭窄だけなら助かる可能性があると思います。拡張を悪化させたら助からないです。
拡張を悪化させないためには、早期発見と食事を与えるときの細心の注意。
私は、ノムちゃんにミルクをあげるあげ方が悪かったのに、あそこまで大きく育ててあげられたと思い、油断したのです。
もっともっともっともっと、時間をかけてゆっくりゆっくりとあげるべきでした。
食物が食道に溜まることは、食道拡張を悪化させるのです。
食道拡張が悪化すれば、溜まった食物を嘔吐し、肺炎を繰り返し、肺がほとんど機能しなくなり、結局死に至ります。
狭窄の外科的処置は可能ですが、拡張を手術で治すことは奇跡のようなことだと思います。


※※2016.5.20追記
後天性の食道狭窄の原因として、ビブラマイシンの内服薬があります。

参照記事→【ビブラマイシン内服時の注意・食道狭窄】


【獣医さんもあまり知らない、子猫によくある病気4◆駆虫剤での副作用 】

これは、経験としては、ドロンタール投与後に急変して亡くなった柿太
マリアさんも多数の保護猫のうち、ドロンタール投与後に原因不明で急死した子猫が3匹。
ボラ友の保護猫ではプロフェンダー投与後に肝臓障害(治療により完治)。
他のボラ友の保護猫はワクチンとレボリューションとドロンタールを同時投与した後に肝障害(治療により完治)。
私の保護子猫で抗生剤投与で全身が腫れあがった「もわ太」(大事無く軽快)。
どれも薬品投与との関連性がないとは言えない、という程度でしか報告がされていないケースが多いのですが、薬品投与による副作用はかなりの数あるのだと思います。

薬の副作用情報のページ
身体の弱い子、小さい子への投与は、たとえワクチンや駆虫剤でも命取りになる場合があることを絶対に忘れてはいけません。
抗生剤には慎重になる獣医さんでも、駆虫剤にはあまり気を止めない獣医さんもいます。
投与後の観察が大事です。
容態が悪くなり、獣医さんが適切な対処をしていない様子が見られた場合は、薬の副作用の可能性は?と、飼い主からも情報提供をすべきだと思います。
柿太は適切な処置を受けていれば、助かったのではと今も思っています。




☆ついでのおまけ☆
【都会の獣医さんがあまり知らない意外とよくある病気 】

ヘモバルトネラ症
これは獣医さんなら知っているはずなのですが、やはり症例が少ない(受診される猫が少ない)ので、獣医さんも失念していることが多いような印象です。
ビブラマイシン等テトラサイクリン系の抗生剤投与で回復が大きく期待できます。
が、手遅れになると急速な貧血により輸血も間に合わなくなり死に至ります。
大きな大人の猫ちゃんでも、死んでしまいます。(「めいちゃんしろちゃんのこと」)
血液が壊され貧血になりますから、ふらつきや息切れ、黄疸、栄養ドリンクのような山吹色のオシッコ(ビリルビン尿)などの特徴的な症状が出ます。
早期発見早期治療で助けられる病気です。飼い主さんは日ごろの観察をよくよく気をつけてください。


◆マンソン裂頭条虫
これは、田舎の獣医さんにはお馴染みのようですが、都会の獣医さんは「見たことがない」「珍しい」と言う先生が多いようです。
けれど私は目黒の住宅街の真ん中で保護した4ヶ月齢の子にマンソンが出たことがありますから、都会でもけっして珍しくはないのだと思います。
最近では被災地の子はほとんどマンソンが出ています。
マンソンはヘビやカエルを食べないと伝染しないと言われています。
駆虫薬の量が多くて投与が難しいので、注射での駆除のほうが簡単です。
けれどそれだけ駆虫剤を与えるという事は、体への負担も多いということなので、副作用に気をつけてください。



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