ゆきももこの猫夢日記

ブログトップ | ログイン

猫の命にかかわる危険な植物のおはなし

引き続き家庭内事故について。

猫や犬にネギ系はNG、中毒症状を起こすというのはよく知られています。
また、猫にとって一部の植物は中毒症状を起こす危険なもので、特にユリは猛毒であるということも、多くの愛猫家がご存知だと思います。
それでも、「うちの子はいたずらしないから大丈夫」「病院にいって処置して貰えば大丈夫」 と思っていませんか?
実際には、近くを通って花粉がついただけでも、それが口に入れば中毒を起こすし、活けていた水を飲んでも中毒を起こします。そして、治療してもユリ中毒から生還できる猫は極めて少数であり、大多数の猫が死に至るとういうのが現実です。

しかし具体的な事例を見聞きしないと、人間なかなか本気で物事を考えようとしません。
悲劇が起きてからではいくら悔やんでも手遅れです。失われるのは大事な命です。

3年前に私の身近なボランティアさんが譲渡した子猫も、譲渡時に危険な植物について説明を受けていたにも関わらず、ユリの花粉で命を落としてしまいました。
これらは本当に危険な植物であるということ、また、猫の個体によって中毒になる場合、ならない場合があること、
中にはそういう情報を知らない方もいるかと思い、以下の情報を転載させていただきます。

 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
(岩崎動物病院のfacebookの投稿より、院長・岩崎 雅和先生に許可をいただき転載させていただきます)
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=282825251749999&set=a.256745804357944.65871.252360934796431&type=1&theater

長文でございますので、ご了承ください。
当院には、とても可愛いクロネコちゃんが通院しておりました。

クロネコちゃんは、通院する時、キャリーバックにも入らず、
飼い主様の横を、とことこと 歩いて来ます。
そして、病院の中でも、飼い主さんの膝の上にちょこんと乗っかり
くつろいでいるといった。まるでアニメに出てくるキャラクターのような
そうであって欲しいと思う、理想の飼い猫ちゃんなのです。

10月23日に、ご飯も食べず、吐いているとのことで来院されました。
2日前から具合が悪いというのです。

もうすぐ2歳になろうとしている「クロ」、
こんなに具合が悪そうなのは初めてです。

思い当たることはないですか?
特に変わったことしてないですよ。とのこと。

精密検査を進めていくと、僕たちの顔が、険しくなっていきました。

2つある腎臓の形態が、変化しており、全く機能していないことに
気が付いたのです。

「エチレングリコール中毒」の症状に非常に似ていますね。

エチレングリコール中毒: 車のラジエーター水(不凍液)による中毒。
致死量が1.5ml程度(ティースプーン1/5杯)と少量であり、
舐めると甘く感じるため、放し飼いの猫などで、まれに経験する中毒症である。

きっと、症状が出てから、丸1日以上経っていますので、
中毒物質を特定して、確定診断をすることは おそらく難しいです。
さらに、3時間を経過してしまいますと、特効薬的な薬はありません。
腎臓が全く機能出来ないため、何もしなければ、おしっこが出なくなってから、
2日程で死に至ると思います。
と、つらい現状をお話しなければなりませんでした。

今までに、10頭ほどの、この中毒症の動物を経験したことがある僕は、
2頭だけ助けたことがありますが、透析をしないと助かりません。
透析をして、日数を稼いでいる間に、腎臓が回復するのを待つのです。
透析には、腹膜透析と人工透析があります。
腹膜透析は、自分のお腹に透析液を注入して、
1時間ほど経ったら、回収する方法です。
透析液が、自分の生体膜を使用して、尿に近い液体になるのです。
でも、腎臓程の精密な、働きは出来ません。生命を維持するには、
全く力不足な方法です。

人工透析は、腹膜透析よりは、断然に、頼れる方法です。
しかしながら、この装置は、装置自体の価格と非現実的なランニングコスト、
稼働する症例数の少なさから、もっとも採算の合わない医療器として、
導入できる勇気ある病院は、まれとされております。
そして実際に関東では、大学も含め、5台ほどしかありません。
前回は、この人工透析で、腎臓が復活するであろう、6日間をしのぎきり、
回復させたのでした。

今回は、残念ながら、当院に、人工透析器はありません。
でも、何かしないと、命尽きてしまうため、人工透析探すと同時に、
腹膜透析をして待つこととなりました。

「高度医療センター」には、「透析室」があることがわかりました。
すぐに、電話をしました。
「人工透析器」はありますか?「ありません。」との解答。
高度医療センターですよね????
では、必要な症例はどうしてるのでしょう?と
「腹膜透析」で対応しています。
えー????。(当院と変わらないでしょ。)
紹介先は、ないのでしょうか?
「うちは高度医療センターとして、紹介を受ける2次病院ですから、
紹介することはありません」との解答。
いろいろな立場や都合があるから、仕方がないと思うけれど、

名称を、「ちょっと高度医療センター」にするべきですね。
と少しの嫌味も言いたくなりました。すみません。
院長のN先生にはお世話になっている為、なにも言わずに電話を切りました。

どうにか医療機器メーカーとやり取りさせて頂き、
なんと奇跡的に、「リーフインターナショナル」様に
デモ器をお借りすることが出来るようにして頂きました。

「思いは通じるはず!!!」

早速、2日目の晩より、人工透析が開始されました。

3日目のことです。
飼い主様から、「今から原因が特定されても、
治療が大きく変わることは無いのですよね。」と相談されました。
「そうですね。」
「実はエチレングリコールではないような気がするのです。」とのことでした。

僕は、そこで間髪いれずに、「ユリ」ですか?と聞くと、
「そう部屋にユリが挿してあるのです。」とのことでした。

エチレングリコール中毒と全く同じような症状をだす、「ユリの中毒」。
ネットでは、沢山の注意が出ているのに
あまり教科書には載っていない、もっとも身近で致死的な中毒症。

おそらくユリの花粉が身体に付き、それを毛づくろいしたのだと。
ユリを挿している花瓶の水を飲んだだけでも起こるけど、
皆が起こるわけではないのもこの中毒の特徴。

通常、2日と持たせることが出来ない病気。

飼い主様が、夜中、付き添いたいと、希望されました。
3日目の晩より、狭い診療処置室で、
例外的に付き添って頂くこととなりました。

一晩中、頑張れと励まして、
安心できるように
匂いの付いた毛布にくるんあげる、

すると徐々にですが、意識が回復したのです。
本当に飼い主さんって凄いですよね。


しかしながら、その時はやってきてしまいました。

意識が回復し、飼い主様と2晩過ごす時間を作ってあげられたことが
何よりも救いです。
最後は病院で亡くなってしまいました。この点においては、本当に無念です。
一週間の間に、腎機能が復活することを期待していて、
今日がその最終日でしたから、無駄な延命に、
クロちゃん、自ら、命を絶ったのかもしれません。

酸素室での開口呼吸とチアノーゼが10分ほど続くと、
突然の痙攣と呼吸困難に陥り、心停止に至りました。
その間、約2分でした。

なるべくして陥った恒常性の破綻ですから、蘇生処置は、5分で切り上げました。

悲しい報告ですが、すみませんでした。

長文で失礼いたしました。
2つのことを言いたくて、この文章を書かせて頂きました。

まずは、「ユリ中毒」に注意して欲しいということです。

そしてもうひとつは、
「採算の合わない医療」をする場所が、
「99頭は助かるけど、1頭は助からない病気の、1頭に目を向け、全力で走る」
場所が、「大学や高度医療センター」の役目であって欲しいということです。

どうか、このことを、心に留めて頂けると幸いでございます。

天使のような「クロ」にご冥福をお祈り申し上げます。


 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
以上です。

猫にとっての有害植物は検索すれば出てきますが、猫夢日記にも別日記で載せたいと思います。



にほんブログ村 猫ブログ 猫 ボランティア・保護活動へ

ねこひと会では、福島原発被災猫の一時預かり様を募集しています。
ねこひと会で保護している被災動物一覧はこちら→
また、猫の移動の際の搬送ボランティアさんも募集しています。
詳細はこちら→

ペットを探している飼い主様に教えてあげてください!
飼い主さんが自分で投稿もできます!
【アニマルファインダー】

希望者には無料で送付します!
【被災保護動物リスト集を作る会・この子達を保護しています】

応援しています!
にゃんこはうす
猫の命にかかわる危険な植物のおはなし_e0144012_38464.gif



↓一日一ポチよろしくお願いします
にほんブログ村 猫ブログ 猫 ボランティア・保護活動へ

*******************************
リンクのご協力お願いします!
       ◆◆◆SOS!世田谷区連続猫虐待事件!◆◆◆
猫の命にかかわる危険な植物のおはなし_e0144012_5262467.gif

◆ゆきももこの特に読んで欲しい日記◆

ねこひと会・里親募集中の子達
一時預かり、搬送協力常に募集中です!
◆◆cat care housueでは、随時里親募集の子の面会可能です♪◆◆ 
             ♪♪毎週プチ里親会開催♪♪
猫の命にかかわる危険な植物のおはなし_e0144012_13203366.gif

by yukimomoko | 2012-01-05 22:34 | 猫の健康・猫との暮らし